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ワンフーアドバイザー
獣医師 Naoka

こんにちは、獣医師のNaokaです。
いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。
一昨年(2024年)にもこのコラムで「犬の外耳炎と耳掃除」についてお話ししましたが、実はここ数年の間にも、外耳炎に対する獣医療の考え方や、推奨されるホームケアのアプローチはさらに進化を続けています。
「たかが耳の赤み、痒み」と侮るなかれ。
外耳炎はワンちゃんのQOL(生活の質)を著しく下げる病気であり、再発に悩む飼い主様がとても多い疾患です。
今回は、愛犬の耳を健やかに保つために、今改めて知っておいていただきたい「最新の常識」を、専門的な視点を交えながらお届けします。
毎日のちょっとした変化に気づいてあげることから 正しいケアで健やかな毎日を。
人の耳の穴(外耳道)がまっすぐなのに対し、犬の耳の穴は「L字型」に折れ曲がっています。
入り口から垂直に下がる「垂直耳道」と、鼓膜へと水平に続く「水平耳道」があるため、どうしても奥に水分や分泌物(耳垢)が溜まりやすく、高温多湿な環境になりやすいのです。
高温多湿な状態になると、耳の中が蒸れて外耳炎を引き起こしやすくなります。
ここに、以下の3つの要素が絡み合うことで外耳炎が発症・悪化します。
✓ 主因(根本的な原因)
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの皮膚疾患。皮膚のバリア機能が弱いため、炎症や感染が起きやすくなります。
✓ 副因(悪化させる原因)
細菌(ブドウ球菌など)や真菌(マラセチアという酵母菌)の過剰繁殖。
✓ 素因(なりやすい体質)
垂れ耳(ゴールデンやトイプードルなど)、耳道内の毛が多い犬種、梅雨〜夏という季節要因。これらの要因は、耳の中が蒸れやすい環境を作ります。
近年の獣医療では、外耳炎の多くは単なる「耳の汚れ」ではなく、「アレルギーをはじめとする、全身的な皮膚のバリア機能の低下が耳に現れたもの」という認識がより強くなっています。
つまり、耳だけを見るのではなく、体全体の皮膚の健康状態を捉えることが不可欠なのです。
しかし現在、医療全体で「薬剤耐性菌(薬が効かない菌)」の出現が深刻な問題となっており、獣医療でもお薬の使い方が見直されています。
現在の治療では、感染が無ければ、最初から強い抗生剤に頼るのではなく、まずは「耳道内の適切な洗浄」と「抗炎症(ステロイドなど)」を徹底するアプローチが主流です。
L字型の耳道に綿棒を入れると、耳垢を奥へと押し込んでしまい、かえって鼓膜付近で巨大な塊を作ってしまう原因になります。
また、犬の耳道の皮膚は非常に薄くデリケートです。
綿棒でこするわずかな刺激だけでも微細な傷がつき、それが新たな細菌の温床になってしまいます。

STEP 01 耳をやさしく持ち上げる
耳の穴の入り口が見えるように、耳介を優しく引っ張ります。

STEP 02 イヤークリーナーを注ぐ
常温〜人肌に温めたクリーナーを、液面が見えるまでたっぷり注ぎます。

STEP 03 耳の付け根をやさしく揉む
耳の付け根(軟骨の硬い部分)を外側から指で優しく「クチュクチュ」と音がするように、10秒程揉みます。

STEP 04 ブルブルしてもらう
ワンちゃんが頭を振って(ブルブル)液を飛ばすのを待ちます。

STEP 05 入り口だけ拭き取る
入り口付近に出てきた汚れと水分を、清潔なコットンやティッシュで優しく拭き取るだけにしましょう。
耳の奥には絶対に触らないようにしてください。
このケアも、週に何度も行う必要はありません。
健康な子であれば月に1〜2回、あるいはシャンプー後に行う程度で十分です。
そうなる前に、日頃から以下の初期サインが無いか見てあげてください。
外耳炎のサイン 耳をよく掻く 頭をよく振る いつもと違うニオイ 赤み・耳垢
✓ 後ろ足で耳の後ろを頻繁に引っ掻く
✓ 頭を激しく振る、床や家具に耳をこすりつける
✓ 耳の中から「酸っぱい匂い」や「生臭い匂い」がする
✓ 耳の入り口が赤くなっている、黒〜茶色いベタっとした耳垢が出る
気になるサインがあれば、自己判断で耳掃除を続けるのではなく、早めに動物病院へ相談しましょう。

トリミング施設などで「耳が汚れていますね」と言われた際も、慌ててゴシゴシ掃除をするのではなく、まずは動物病院を受診しましょう。
わんちゃんが痒みのない快適な毎日を過ごせるよう、気になる症状があれば、お早めにご相談ください。

今回のコラムはいかがでしたか?
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ワンフーアドバイザー
獣医師 Naoka

こんにちは、獣医師のNaokaです。
いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。
一昨年(2024年)にもこのコラムで「犬の外耳炎と耳掃除」についてお話ししましたが、実はここ数年の間にも、外耳炎に対する獣医療の考え方や、推奨されるホームケアのアプローチはさらに進化を続けています。
「たかが耳の赤み、痒み」と侮るなかれ。
外耳炎はワンちゃんのQOL(生活の質)を著しく下げる病気であり、再発に悩む飼い主様がとても多い疾患です。
今回は、愛犬の耳を健やかに保つために、今改めて知っておいていただきたい「最新の常識」を、専門的な視点を交えながらお届けします。
毎日のちょっとした変化に気づいてあげることから 正しいケアで健やかな毎日を。
● なぜ犬は外耳炎になりやすいのか?
犬の耳の構造は、人間とは大きく異なります。人の耳の穴(外耳道)がまっすぐなのに対し、犬の耳の穴は「L字型」に折れ曲がっています。
入り口から垂直に下がる「垂直耳道」と、鼓膜へと水平に続く「水平耳道」があるため、どうしても奥に水分や分泌物(耳垢)が溜まりやすく、高温多湿な環境になりやすいのです。
高温多湿な状態になると、耳の中が蒸れて外耳炎を引き起こしやすくなります。
ここに、以下の3つの要素が絡み合うことで外耳炎が発症・悪化します。
✓ 主因(根本的な原因)
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの皮膚疾患。皮膚のバリア機能が弱いため、炎症や感染が起きやすくなります。
✓ 副因(悪化させる原因)
細菌(ブドウ球菌など)や真菌(マラセチアという酵母菌)の過剰繁殖。
✓ 素因(なりやすい体質)
垂れ耳(ゴールデンやトイプードルなど)、耳道内の毛が多い犬種、梅雨〜夏という季節要因。これらの要因は、耳の中が蒸れやすい環境を作ります。
近年の獣医療では、外耳炎の多くは単なる「耳の汚れ」ではなく、「アレルギーをはじめとする、全身的な皮膚のバリア機能の低下が耳に現れたもの」という認識がより強くなっています。
つまり、耳だけを見るのではなく、体全体の皮膚の健康状態を捉えることが不可欠なのです。
● 治療のトレンドは「とりあえず抗菌薬」からの脱却へ
以前は、耳が赤くなったり膿が出たりすると、すぐに強力な抗生物質(抗菌薬)の点耳薬を使うことが一般的でした。しかし現在、医療全体で「薬剤耐性菌(薬が効かない菌)」の出現が深刻な問題となっており、獣医療でもお薬の使い方が見直されています。
現在の治療では、感染が無ければ、最初から強い抗生剤に頼るのではなく、まずは「耳道内の適切な洗浄」と「抗炎症(ステロイドなど)」を徹底するアプローチが主流です。
● ご自宅での耳のケア
お家での耳掃除、「こすらない」が絶対のルール
かつては「綿棒を使って優しく耳垢を拭き取る」というケアが紹介されることもありましたが、現在の獣医療において「綿棒の使用」は基本的に推奨されません。L字型の耳道に綿棒を入れると、耳垢を奥へと押し込んでしまい、かえって鼓膜付近で巨大な塊を作ってしまう原因になります。
また、犬の耳道の皮膚は非常に薄くデリケートです。
綿棒でこするわずかな刺激だけでも微細な傷がつき、それが新たな細菌の温床になってしまいます。
現代のスタンダード:注入式洗浄(イヤークリーナー)
現在、最も安全で効果的とされているホームケアは、耳の穴に犬用のイヤークリーナーを「たっぷり注いで、クチュクチュ揉んで、浮いた汚れを犬自身に振って飛ばしてもらう」という方法です。【正しい洗浄ステップ】

STEP 01 耳をやさしく持ち上げる
耳の穴の入り口が見えるように、耳介を優しく引っ張ります。

STEP 02 イヤークリーナーを注ぐ
常温〜人肌に温めたクリーナーを、液面が見えるまでたっぷり注ぎます。

STEP 03 耳の付け根をやさしく揉む
耳の付け根(軟骨の硬い部分)を外側から指で優しく「クチュクチュ」と音がするように、10秒程揉みます。

STEP 04 ブルブルしてもらう
ワンちゃんが頭を振って(ブルブル)液を飛ばすのを待ちます。

STEP 05 入り口だけ拭き取る
入り口付近に出てきた汚れと水分を、清潔なコットンやティッシュで優しく拭き取るだけにしましょう。
耳の奥には絶対に触らないようにしてください。
このケアも、週に何度も行う必要はありません。
健康な子であれば月に1〜2回、あるいはシャンプー後に行う程度で十分です。
● こんなサインを見逃さないで!
外耳炎は慢性化すると、耳の穴の皮膚がゾウの皮膚のように厚くなり(肥厚)、最終的には耳道が完全に塞がって手術が必要になることもあります。そうなる前に、日頃から以下の初期サインが無いか見てあげてください。
外耳炎のサイン 耳をよく掻く 頭をよく振る いつもと違うニオイ 赤み・耳垢
✓ 後ろ足で耳の後ろを頻繁に引っ掻く
✓ 頭を激しく振る、床や家具に耳をこすりつける
✓ 耳の中から「酸っぱい匂い」や「生臭い匂い」がする
✓ 耳の入り口が赤くなっている、黒〜茶色いベタっとした耳垢が出る
気になるサインがあれば、自己判断で耳掃除を続けるのではなく、早めに動物病院へ相談しましょう。

● まとめ
愛犬の耳の健康を守る鍵は、「過剰なケア(触りすぎ)をやめること」と「異変を感じたら自己判断せず受診すること」です。トリミング施設などで「耳が汚れていますね」と言われた際も、慌ててゴシゴシ掃除をするのではなく、まずは動物病院を受診しましょう。
わんちゃんが痒みのない快適な毎日を過ごせるよう、気になる症状があれば、お早めにご相談ください。

今回のコラムはいかがでしたか?
ワンフーホームページでは、
これからも愛犬・愛猫との暮らしに役立つ情報をお届けしていきます。
是非チェックしてくださいね☆